高田崇史『QED 式の密室』

QED 式の密室 (講談社ノベルス)

QED 式の密室 (講談社ノベルス)


「式」とは「式神」のことで、陰陽師安倍晴明が手足のごとく使役していたことで有名なもの。
その式神が重要なキーワードとなる作品。
企画物という制限があったためかボリューム少な目、でも次作の『竹取伝説』へ続くことになるらしい。

今回は珍しくリアルタイムで進行するのではなく、タタルと彼の友人・小松崎が大学1回生の時に過去(30年以上前)の事件を解明したことを奈々に聞かせるという体裁を取っています。
そのため、現在(タタル・奈々・小松崎がバーで飲み会)・過去(タタル・小松崎の大学1回生時)・大過去(30年前)が交互に登場してきました。
順を追って読むと混乱することはないですが。

式の正体についてや、また晴明伝説についての解釈が述べられていて、「そう解釈できるのか〜」
と思う一方、平安時代に対するイメージがガラガラと音を立てて崩れて行くような気がしました(苦笑)。

今回の章タイトルはカクテルの名前を日本語に文字ったものになっていたのですが、
相変わらずタタルたちがバーで飲む場面はお酒が実に美味しそうなんだわ。
「バーでカクテル」なんてオシャレなことには無縁ですが、この作品を読むと飲みたくなるから困る(^^;)