高田崇史『QED 東照宮の怨』

QED 東照宮の怨 (講談社ノベルス)

QED 東照宮の怨 (講談社ノベルス)


東照宮には行ったことがなく、イメージとして「過剰にキンキラした建物」くらいに思っていました。
(「見ざる、言わざる、聞かざる」の「三猿」や、「眠り猫」は知ってるけど)
しかしこの本を読むと、実は思ったほど悪趣味な建物ではないらしいということと、
壮大で緻密な構想の下に作られたことが書かれていて面白かったです。

なんとも思っていなかった「東照宮」という名前でさえ、考えに考え抜かれた名称であり、
「宮」という名乗りを許されていること自体が徳川家の権力を物語っているらしいとのこと。

東照宮に勅額が掲げられている後水尾天皇についての薀蓄もいろいろあって為になりました。
言われてみれば「水尾天皇」という天皇はいらっしゃらないのになぜ「後水尾天皇」という追号なのか
わからなかったけれど、平安時代初期の清和天皇の異称だったのかと納得。

それ以外には、奈々がタタルのことをどう思っているのか、かなり具体的に描写され始めました。
二人が顔見知りとなるきっかけのエピソードが出てくるけれど、
実際にタタルみたいな人に議論を吹っかけられて論破できる人はなかなかいないでしょう(苦笑)。


(ここから先、ややネタバレ)

殺人事件の犯人とその動機について・・・
まあこの作品にミステリ要素はあまり求めていないとはいえ、犯人が・・・。
『諏訪の神霊』を読んだ後だと、「またか!」と思ってしまった。
(『東照宮』の方が先に書かれてるから、実際は『諏訪』の方で再度使ってるんだけど)
動機にしても、その人なりの信念と言われてしまえばそれまでだけど、ちょっと理解しにくいかも。

あと、「かごめかごめ」の歌にいろいろな解釈ができるとは・・・
童謡ひとつ取っても奥が深い!