高田崇史『QED 式の密室』
- 作者: 高田崇史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/01/11
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「式」とは「式神」のことで、陰陽師の安倍晴明が手足のごとく使役していたことで有名なもの。
その式神が重要なキーワードとなる作品。
企画物という制限があったためかボリューム少な目、でも次作の『竹取伝説』へ続くことになるらしい。
今回は珍しくリアルタイムで進行するのではなく、タタルと彼の友人・小松崎が大学1回生の時に過去(30年以上前)の事件を解明したことを奈々に聞かせるという体裁を取っています。
そのため、現在(タタル・奈々・小松崎がバーで飲み会)・過去(タタル・小松崎の大学1回生時)・大過去(30年前)が交互に登場してきました。
順を追って読むと混乱することはないですが。
式の正体についてや、また晴明伝説についての解釈が述べられていて、「そう解釈できるのか〜」
と思う一方、平安時代に対するイメージがガラガラと音を立てて崩れて行くような気がしました(苦笑)。
今回の章タイトルはカクテルの名前を日本語に文字ったものになっていたのですが、
相変わらずタタルたちがバーで飲む場面はお酒が実に美味しそうなんだわ。
「バーでカクテル」なんてオシャレなことには無縁ですが、この作品を読むと飲みたくなるから困る(^^;)
高田崇史『QED 東照宮の怨』
- 作者: 高田崇史
- 出版社/メーカー: 講談社
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東照宮には行ったことがなく、イメージとして「過剰にキンキラした建物」くらいに思っていました。
(「見ざる、言わざる、聞かざる」の「三猿」や、「眠り猫」は知ってるけど)
しかしこの本を読むと、実は思ったほど悪趣味な建物ではないらしいということと、
壮大で緻密な構想の下に作られたことが書かれていて面白かったです。
なんとも思っていなかった「東照宮」という名前でさえ、考えに考え抜かれた名称であり、
「宮」という名乗りを許されていること自体が徳川家の権力を物語っているらしいとのこと。
東照宮に勅額が掲げられている後水尾天皇についての薀蓄もいろいろあって為になりました。
言われてみれば「水尾天皇」という天皇はいらっしゃらないのになぜ「後水尾天皇」という追号なのか
わからなかったけれど、平安時代初期の清和天皇の異称だったのかと納得。
それ以外には、奈々がタタルのことをどう思っているのか、かなり具体的に描写され始めました。
二人が顔見知りとなるきっかけのエピソードが出てくるけれど、
実際にタタルみたいな人に議論を吹っかけられて論破できる人はなかなかいないでしょう(苦笑)。
(ここから先、ややネタバレ)
殺人事件の犯人とその動機について・・・
まあこの作品にミステリ要素はあまり求めていないとはいえ、犯人が・・・。
『諏訪の神霊』を読んだ後だと、「またか!」と思ってしまった。
(『東照宮』の方が先に書かれてるから、実際は『諏訪』の方で再度使ってるんだけど)
動機にしても、その人なりの信念と言われてしまえばそれまでだけど、ちょっと理解しにくいかも。
あと、「かごめかごめ」の歌にいろいろな解釈ができるとは・・・
童謡ひとつ取っても奥が深い!
高田崇史『QED ベーカー街の問題』
- 作者: 高田崇史
- 出版社/メーカー: 講談社
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現時点で、QEDシリーズ唯一の海外ネタ。
内容はタイトルを見ても判るとおり、シャーロックホームズに関する謎解きです。
「シャーロキアン」という人たちの存在は知っているけれど、ホームズはちゃんと読んだことがありません。
しかしホームズを読んでなくても十分楽しめました。
むしろ門外漢向けに分かりやすく書かれているようなので、本物のシャーロキアンには少々物足りないかも??
分量もコンパクトにまとまっていて読みやすかった。
これを読んで知ったのが、シャーロキアンとは単なるホームズマニアという意味だけでなく、
小説に書かれている様々なことを「研究」する人たちのことだったということ。
「研究内容」も多岐にわたっているようで、いろいろな楽しみ方ができそうだなと感じました。
それから小さいことながら、日本のシャーロキアンの草分け的存在として牧野伸顕伯爵の名前が出ていたことにびっくり。
牧野伸顕といえば、私の中では大久保利通の次男にして吉田茂元首相夫人の父としてインプットされています。
吉田茂は相当のイギリス贔屓だったみたいだけど、牧野さんの影響もあったのかと推測してしまった。
高田崇史『QED 諏訪の神霊』
- 作者: 高田崇史
- 出版社/メーカー: 講談社
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QEDシリーズ15作目にして、現在の最新作。
QEDシリーズを本格的に読んだのはこの作品からなので読む順番が前後したけれど、これ単体でもまあまあ読めました。
諏訪の御柱祭についての謎を追う、というストーリーで、御柱祭自体にさほど詳しくなくても言われてみれば…な謎がてんこ盛りで面白かった。
古事記や日本書紀の神話の世界にまで由来が遡るので、ここら辺の知識があまりないとちょっとしんどい。
(いつものごとく、崇が奈々に説明するというスタイルで読者に説明してくれているが)
いずれは、古事記辺りの本も読まないといけないなぁ・・・。
高田崇史『QED 六歌仙の暗号』
- 作者: 高田崇史
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QEDシリーズ2作目。
今回は百人一首の流れからか? 六歌仙へ。
しかし、六歌仙と言いつつも途中までは七福神の薀蓄がメインで「タイトル詐欺?」と思ったが、あとでちゃんと六歌仙の薀蓄も絡んできました。
六歌仙についてももちろん、七福神についてもあまり詳しい知識がなかったので六歌仙と共にお勉強できてよかった。
六歌仙の喜撰法師って、『古今和歌集』の仮名序に名前が挙がっているけれど実は和歌は一首しか伝わっていない伝説的人物(というか、紀貫之の創作人物?)だったのねぇ。
高田崇史 『QED 百人一首の呪』
- 作者: 高田崇史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/12/04
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数年前に挑戦しかけて挫折した高田崇史のQEDシリーズ。
その時に手を出したのはたぶん『竹取伝説』だったと思うのだが、失念。
しかし最新作の『QED 諏訪の神霊』を知人に偶然貸していただいたのをきっかけに再挑戦。
QEDはシリーズ物とはいえ一応物語としてはそれぞれ一冊ずつで完結しているので、順を追って読んでいく必要はありません。
とはいえ、作中人物はちゃんと年を取って行くようだし、交友関係についても作品が進むたびに発展しているようなので、やはり最初から読んだ方がいいかと思い、『諏訪の神霊』をかなり最後の方まで読んだ状態で『百人一首の呪』を先に読了しました。
『諏訪』で面白いな、という感触を掴んでいたということもあるけれど、百人一首という私にとっては比較的とっつきやすい題材だったこともあり、結構なページ数の割にはスムーズに読めました。
ただ、高田崇史さんの文章はあまりこなれていないのか、独特の癖のようなものがあり、それに馴染むまでに多少時間がかかりましたが。。
それと、百人一首がパズルのようにつながっている! という本書の性格上、関係のある和歌がずらずらと並べられているのですが、どこがどうつながっているのかわからない組み合わせもあり、全部は理解できませんでした。
それから既に指摘され尽くしていることですが、百人一首と作中で起こる殺人事件とはあまり関係がない。
しかも殺人事件の真相も「えーっ、それってちょっと反則じゃない?」と思わず言いたくなりそうな謎解き。
殺人事件は添え物、メインは百人一首の解読なので、本格的なミステリ好きの読者には評判は芳しくないだろう。
私はあまり本格的な謎解きには期待していないので(本格推理小説はほとんど読まないので)、歴史ミステリとして楽しませてもらえればそれでいい。
まあ、この人の本を読んでる読者のほとんどはそう思ってるような気もする。
真偽の程はともかく(?)、「そういう説もあるんだー」と雑学ネタを提供してくれるという意味では読みやすいです。
主人公の崇と奈々も、やや類型的っぽいけど嫌いじゃないし。。
それにしても、百人一首には暗号が仕掛けられている、というのは結構以前からあるネタだったとは、初めて知りました。
参考文献として挙げられていた百人一首本も、いつか読んでみよう。
『権力の日本人 双調平家物語ノート(1)』
権力の日本人 双調平家物語 I (双調平家物語ノート (1))
- 作者: 橋本治
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橋本治が『双調平家物語』を手がけるにあたって、平清盛がなぜ悪人と言われるに至ったのか、という理由探しをした時の諸々の下調べの成果を綴った歴史随想。
『双調平家物語』を読んでからこの本をサブテキストとして読むと非常にわかりやすいが、この本だけを読んだとしても文章も読みやすいので十分楽しめます。
扱う時代は清盛が活躍する時代から徐々に遡っていき、最終的には飛鳥時代の持統天皇にまで話が及びます。
文章は読みやすいとはいえ、古代特有の複雑な血縁関係を把握するのはかなり至難の業。
その都度ごとに関係系図や関連年表が掲載され、その数あわせて40近くもありますが、本文を読むだけよりもより労力が必要ではないかと思われます。
橋本治自身も確か閑院流藤原家のあまりの複雑さに
「こんな系図を作らされるこちらの身にもなってほしい」
と嘆いていましたが、十分に理解しているはずの橋本さんでさえ思わず愚痴をこぼすくらいなのだから、凡人の私がきちんと理解するのは更に難しいといえます。
どうかすると頭が混乱してしまうので、系図を首っ引きで見て、それでも関係を整理できない。
それほど面倒でも、歴史上の人物を丹念に読み解いていく過程が非常に面白い。
感想が「面白い」しか出てこないのが哀しいところだけれど、実際の歴史で起こったことを詳しく解説されていて、刺激されることがいっぱいでした。
天皇というトップが存在しながら、院政がまかり通るという権力の二重構造が生まれた要因はどこにあるのか、という現在の日本にも通じる権力構造のルーツについて。
あるいは権力の作られ方とか、世の中の仕組みとか。
橋本治は現代評論もよくしているけれど、私にとってはそういうのよりも古典や歴史の解説をしてくれている方がずーっと嬉しいのである。
ところで、続編となる『院政の日本人』の刊行はまだですか?
今春あたり刊行してもらえるといいなぁ。






